アイアンのシャフトを選ぶときは、ヘッドスピードが目安のひとつになります。
男性ゴルファーのドライバーの平均的なヘッドスピードが42m/sと言われる中、38m/sだとシャフトは軟らかいほうが良いのでしょうか?
ヘッドスピード38m/sに合うアイアンのシャフトの硬さについて考えていきます。
アイアン購入でヘッドスピードを計測すると43m/sが38m/sになる?
アイアンのシャフトの硬さを決めるとき、体型や体力、男性と女性、スポーツの経験などは、どれをとっても感覚的なものも判断基準にはなるでしょう。
それに引き換えヘッドスピードは数値によって客観的に決めることができるため、選んだあとで違和感があることは少ないようです。
ただ問題があるとしたら、自分の正確なヘッドスピードを知らないことです。
一般ゴルファーで、自分の現在のヘッドスピードを正確に把握していることはないはずです。
それこそ新しいクラブを購入するときに計測してもらって以降、計測していないゴルファーも多いことでしょう。
その初めて計測するとき多くの人は緊張していて、普段のヘッドスピードとは違ってしまうものです。
ショップの狭い試打室の中に入って、1~2度素振りをしたらすぐにボールを打つことにも慣れていません。
しかも、はじめて握ったドライバーを使ってヘッドスピードを計測するため、普段は43m/sくらいあっても、38m/s以下になることもありえるのです。
ヘッドスピード38m/sはアイアンのヘッドスピードではない!
アイアンのシャフトの硬さを決めるときに、ヘッドスピードを計測するのはドライバーです。
アイアンはドライバーより短くフルスイングするものでもないため、ドライバーより2割ほど落ちるものです。
仮にアイアンで38m/sだとしたら、プロゴルファーに匹敵する相当なパワーヒッターです。
日ごろから試打室に慣れていないと、緊張で体が硬くなってしまい、スムーズなスイングができない場合が多々あるからです。
そもそも体も温まることなく、素振りもほぼない状態でフルスイングをしても、いつも通りのヘッドスピードに達するわけがありません。
「購入=計測」では正しいヘッドスピードが分からないため、日ごろから自分のヘッドピードに関心を持つことが大切です。
日常からヘッドスピードピードが38m/s以下であれば、平均よりも少し遅いほうになるでしょう。
ヘッドスピードが遅い場合には、軟らかいシャフトを使うほうが飛距離は伸びると言われています。
「ピシ!」と打ち付けるムチのように、手首を使って唸るように振り切ると、強いインパクトを与えることができます。
もっともアイアンで距離を出しても意味はなく、正確な距離と方向が出せるシャフト選びこそ重要なはずです。
ヘッドスピード38m/sのときアイアンは軟らかいシャフトが良い?
ドライバーのヘッドスピードが38m/s以下であれば、アイアンは軟らかいシャフトのほうが楽にスイングすることができます。
ただしシャフトのしなりによって、スイング中のヘッドは左右に揺れることになるので、インパクトでタイミングを合わせなくてはいけなくなります。
アドレスではグリップを体の真ん中で構えて同じ位置でインパクトを迎えても、シャフトのしなりでヘッドが遅れていたり、しなり戻りでヘッドが先行したりと、グリップの先端が指す方向にヘッドがないと上手くインパクトはできません。
極端に軟らかいシャフトはヘッドコントロールが難しく、思い切ったスイングができなくなります。
それよりコントロールできる範囲で軟らかいシャフトにすれば、力まずにスイングすることができるはずです。
ここで大事なのは、ヘッドスピード38m/sに合うシャフトを見つけることです。
一般的なシャフトの硬さはR(レギュラー)シャフトですが、目安となるヘッドスピードは40m/s前後とされているので、Rシャフトよりも軟らかいAシャフトも選択肢に入っている可能性があります。
ヘッドスピード38~42m/sだとRシャフトのアイアン
シャフトは「L→A→R→S→X」の順で硬くなっていきます。
平均的な硬さと言われるRシャフトのヘッドスピードの目安は40m/sとされていますが、メーカーによって若干の違いがあります。
目安となるヘッドスピードには範囲があって、Rシャフトの場合は40~43m/sにしている場合や、38~42m/sにしている場合もあります。
アイアンに装着されたシャフトが前者であれば、Aシャフトが適合になりますし、後者であればRシャフトが適合します。
ただしヘッドスピード38m/sがドライバーのマックスのヘッドスピードである場合、アイアンはそれ以下でスイングすることが多いので、Aシャフトのほうが扱いやすいかもしれません。
だからと言ってAシャフトを探しても男性用では見当たらないはずです。
メーカーによってないこともありますが、Aフレックスと同等のR2フレックスが選択肢になるでしょう。
もちろん、これはインパクトで払い打つレベルブローのスイングを対象としたものです。
芝の上のボールを払い打つからこそ、シャフトのしなりとしなり戻りが作用するのであって、強く打ち込むダウンブローのスイングでは硬いシャフトのほうが扱いやすい場合が多いようです。
ヘッドスピード38m/sでもアイアンを打ち込むなら硬めが良い
ダウンブローに打ち込むアイアンショットが多いのであれば、ヘッドスピードが38m/s以下であってもRシャフトのほうが安定感は高いかもしれません。
ドライバーのヘッドスピードは、上から振り下ろすダウンスイングに、コックのリリースが加わります。
インパクトで左手首のコックをリリースするタイミングを合わせると、ヘッドスピードが加速して、スイングスピードよりもヘッドの動きは速くなります。
ところがコックを固めて芝面にヘッドを打ち込むアイアンのダウンブローは、ヘッドスピードの加速よりも正確な入射角度が重要です。
ボールの斜め上にヘッドを打ちつけて弾き飛ばすわけですから、少しでも薄く入るとダフリますし、厚く入るとトップします。
正確なインパクトが要求されるため、意識的なコックの動きを使わずに、ヘッドをボールにぶつけていくことになります。
そのためにはシャフトのしなりが少なくなる硬めのシャフトが扱いやすいと考えられます。
ヘッドスピード38m/sのノーコックのアイアンショット
ダウンブローに打ち込むアイアンショットを主体にしている場合は、レベルブロー主体のシャフトよりも硬めのほうが安定感はあるはずです。
ここで問題となるのが、自分のヘッドスピードの計測方法です。
ドライバーを使ってヘッドスピードを計測したときは、コックを使ったスイングをしていたのに、アイアンのスイングではノーコックであるなら、その計測値が正しいのか疑問があります。
コックを使ったときのヘッドスピードが38m/sであっても、ノーコックなら35m/s以下かもしれません。
それなのにRシャフトを選ぶと、今度は硬すぎる可能性が高くなります。
これはレベルブローでRシャフトを選ぶ人が、ダウンブローでSシャフトを選ぶようなものになるため、適合しない可能性があります。
シャフトの硬さには好みがあるものですから、あくまでもヘッドスピードは「目安」でしかありません。
メーカーによって同じRシャフトでも硬さに違いがありますし、目安の基準となるヘッドスピードの範囲にも違いがあります。
38m/s以下のヘッドスピードの場合には、同じモデルのR2とRのシャフトのアイアンを手にとって、できれば試打をして確かめてみるようにしましょう。
自分に合ったアイアンを選ぶ
ヘッドスピードが38m/sは平均より少し遅いくらいですが、距離調節をするアイアンショットではRシャフトでも良いかもしれません。
またダウンブローに打ち込むショットを多用するようならSシャフトのほうが確実性が増すことも考えられます。
そのためもれなく試打して確かめてみると良いでしょう。