気付かないうちに少しずつ劣化しているのがゴルフクラブのグリップです。
そのまま使用を続けるとショットに不可欠な柔らかい握りを妨げ、ミスショットを誘発してしまいます。
1W、FW、ユーティリティー、アイアン、いづれもグリップがツルツルして艶があるようならば間違いなく要交換、滑ってクラブを投げてしまう可能性もあります。
交換作業は一度経験すると意外に簡単です。
アイアンのグリップ交換をメインに一緒に考えていきましょう。
ゴルフクラブのグリップ洗浄方法
意外に見落としがちですが、特にアイアングリップは相当汚れています。
まずは洗ってみましょう。
スニーカー洗浄用のブラシに中性洗剤をつけ、グリップエンドを下に向けヘッド側からグリップエンド方向にこするのです。
この際の注意点、グリップエンドに開いている小穴に水が入らないようにする事、中に水が入るとシャフト(スチールの場合)内部に錆が発生し性能が落ちる可能性があるからです。
洗浄後は乾燥したタオル等でグリップの水気を取り、完全に乾燥させてください。
繰り返しになりますが、シャフト内への水分侵入には要注意です。
使用頻度の低いクラブであればこの洗浄だけでも機能回復が望めます。
この作業は自宅洗面所でも可能ですので、気になったらすぐに試してみてください。
生き返るアイアングリップもあるはずです。
次に交換場所を考えます。
グリップ交換に適した場所
アイアンのグリップをシャフトに固定しているのは接着剤ではなく両面テープです。
取り外し時には必要ありませんが、装着時にはこの粘着剤を溶かす溶剤が必要になります。
この溶剤は刺激性の匂いが付いており、自宅内での使用は避けたほうが無難です。
なぜなら家具等に飛沫が飛ぶと色落ち等を起こす可能性があるからです。
また、新しいシャフトにグリップを装着する際は万力等の工具が必要です。
慣れてくると無くてもできます。
匂いが出ても大丈夫で、万力等の工具の心配が要らず、安心してグリップ交換できる場所があります。
それは、ホームセンターのDIYルームです。
対象ホームセンターメール会員等の登録(ほとんどが無料)が必要ですが、誰でも登録可能、交換に必要な資材を購入すれば無料で使うことができます。
次は必要な資材と道具です。
アイアンのグリップ交換に必要な資材と道具
アイアンの古いグリップの取り外しにはカッターが必要です。
このカッターは通常のものでも代用できますが、グリップ交換専用のものがあり、安全便利に使えるのでオススメです。
この専用カッターの特徴は対象シャフトに傷がつきにくい点です。
対象がスチール素材であれば性能への影響は少ないですが、カーボン素材の場合は要注意のため、使用をオススメします。
またグリップ装着の際、既存グリップの位置を記録するために養生テープが便利です。
そしてグリップ固定用の両面テープ。
それからグリップ装着時に両面テープの粘着材を溶かすために必要な溶剤です。
ここでは簡単に入手できるパーツクリーナー(ホームセンターで入手可能、刺激臭も少なく安価)を使用します。
ホワイトガソリンでもできますが、使用には特殊な道具が必要で少々面倒です。
さらに清掃用のウェスを用意してください。
古タオルで問題ありません。
これで資材と道具が揃いました。
次はいよいよ交換の手順です。
アイアンを万力に固定して交換をスムーズに進める
ここでは万力があることを前提に話を進めていきます。
養生テープをアイアングリップ先端(ヘッド側)に巻きつけ交換用の目印をつけます。
グリップエンドを手前にし、ヘッドの方向はアドレスと同じ向き、トウが真上を向き、リーディングエッジを真左に向け、グリップ先端から5cmほど間隔を空け挟みます。
この際、万力に滑り止めのラバーが付いている場合はそのままで構いませんが、付いていない場合はタオル等を使用し、シャフトにダメージを与え無いよう力加減を調整し固定してください。
この固定作業は微妙で、目安として、クラブヘッドを握り左右に回せない程度の力加減で締め付けます。
うまく固定できない場合は、タオル等を少し湿らせると滑りを抑えることができるでしょう。
クラブの向き、固定の力加減、グリップの目印、これらが確認できたら取り外しです。
グリップをアイアンからキレイに取り外す
クラブが回らないように固定されていることを確認し、用意したカッターでグリップに切り込みを入れていきます。
専用のカッターの場合、グリップ先端に滑り込ませ手前に引けば完了ですが、通常のカッターを使用する場合はシャフトへのダメージを考慮し、一度に深く切り込まず、数回に分けることをオススメします。
軽く押し当てながら作業しても、3回ほどで切り裂く事が可能です。
切り込みが完了したら、グリップを左右に広げ、床方向に引き下ろし一気に剥がします。
この際にかかる力はそれ相応に強いので、万力での固定はしっかりとしておいてください。
使用期間が長いグリップの場合、固定用両面テープの粘着力が弱くなっており簡単に剥離できますが、稀にシャフト上に残る場合があります。
その際は、清掃用タオルにパーツクリーナーを吹き付け対象部分を処理してください。
それでも落ちない場合はカッター等を使用し粘着材が残らないよう丁寧に拭きあげてください。
その後クラブを万力から外し、目印につけておいた養生テープを基準に、固定用両面テープを貼り付けます。
目印からシャフトエンド側へ真っ直ぐ貼り、そのまま切らずシャフトエンドを回り込み裏側も同様に目印まで真っ直ぐ貼ります。
この固定用両面テープの巻き方には色々な方法がありますが、今回は一番簡単な方法であると同時に、次回の交換作業も容易になるので、この方法で話を進めます。
これを対象の交換するアイアン全てに行い、次の工程に備えます。
次は組み付けです。
アイアンにグリップを組み付ける
固定の時と同じ要領で、両面テープが巻きつけてあるクラブを万力に固定します。
グリップの方向を確認するためにも、アイアン固定方向には十分注意してください。
グリップ固定用の両面テープ保護紙を剥がします。
交換用新品のグリップを用意、保護用ビニールを剥がし、グリップエンドに開いている小さな穴にティーを刺し込み、グリップ内部にパーツクリーナーをケチらず多めに吹き込みます。
利き手にグリップを持ち、空いた手でグリップ固定用の両面テープ全体、特にエンド側を中心にパーツクリーナーを十分吹き付けます。
グリップ内部に溜まっているパーツクリーナーをエンド側に掛けるように傾けながら軽く差し込み、グリップエンドに刺したティーを抜き、一気に差し込みます。
この際、目印の養生テープ位置を超えないよう注意しながら位置を決めてください。
超えてしまうとグリップの長さにも太さにも影響するので要注意です。
すぐにグリップにある目印とリーディングエッジの方向を合わせ、ねじれを修正します。
多くのグリップには表にブランドマーク、裏には印がついていますので目印に使えます。
グリップには細かい模様があり、ねじれの修正は思いの外簡単です。
完全乾燥まで最低12時間程度かかりますが、細かい微調整が可能なのは装着後数分間です。
そのため差し込み直後に修正することをオススメします。
これで全て完了です。
快適なゴルフライフを
いかがでしたか。
ツルツル滑るグリップは「百害あって一利なし」です。
滑ることを警戒し強く握ってしまうと手首の動きを硬くし、シャフトのしなりを生かす事ができず、飛距離低下やダフリ、トップを誘発してしまいます。
手にしっとりフィットするグリップに交換するだけで、アプローチが楽になったり、ヘッドが走るようになり、アイアンの方向性や飛距離にも好影響を与えます。
ぜひお試しください。
最後に、グリップに関してはクラブに装着されていたものと同じものを選択するのがベストですが、純正品と同サイズであれば安価なものでも問題ありません。