アイアンの手入れをしていないと、溝の中に土や小石が挟まっているものです。
最近はセルフプレーの機会が増えていることもあり、溝の中に詰まった土が原因でスピンがかからずに、グリーンオーバーなんてこともあるようです。
ここではアイアンの手入れの仕方と、関連するルールについて紹介します。
アイアンの溝を手入れしないと良いショットは打てない?
アイアンショットをしていると、フェースの溝に土が詰まることはよくあります。
ボールとフェースの間に挟まった土がスイングの衝撃で圧縮されて、そのまま放置しているとセメントのように硬くなっていることありませんか。
多くのゴルファーは、前方が空くまでのショット待ちのときや、歩行移動しているときにウッドティの先で溝にはまった土をコシコシと削り取っていることと思います。
ただ良く見ると、綺麗に取れているとはいえず、土は溝の中に残っていることがあるようです。
「たかが土くらい」と思うかもしれませんが、ボールとの接触部分だと、アイアンのスピン量が落ちて、止まるはずのボールがダラダラと転がり、グリーンからこぼれ落ちるかもしれないのです。
そのようにフェースの溝の中で、土がセメントのように硬くなるのは、放置したことに原因があります。
その日のうちに綺麗に手入れをすれば、少なくともカチコチのセメント状にはならないはずです。
まずは、ゴルフ場でできる手入れの方法をみましょう。
ラウンド後のゴルフ場で使用したアイアンの溝を手入れしよう
ラウンド後にアイアンの溝を手入れするのであれば、靴洗いの場所にいきましょう。
現在は布製のアッパーに鋲なしの底のシューズが増加してきていますが、伝統的な革製で鋲のあったころと同じように、シューズ用の柄付きタワシが置いてあるはずです。
そのタワシでフェースを水洗いすれば、土汚れは取れるはずです。
このときヘッドを水に浸けて、こびり付いた土を柔らかくすると、取り残した以前の土も綺麗に取れるはずです。
また靴洗い場にはエアシュー(エアガン)があるので、圧縮した空気を溝に吹き付けることで水分をとるだけでなく、こまかな汚れも吹き飛ばしてくれます。
ただエアシューはあっても、シューズ用のタワシを置いていない場合があります。
そんなときは歯ブラシが便利なので、使い古したものを1本キャディバッグに入れておくと便利です。
もしも「他人の目」が気になるようなら、100均で爪とぎブラシを購入すれば、フェースの手入れにちょうど良いグッズになるはずです。
アイアンの溝の中を手入れする専用グッズがある
日常的にアイアンの溝を手入れしていれば、汚れは落とすことができているはずです。
しかしながら小石を噛んだ傷は、洗っただけで消えることはありません。
特に溝の角に小石が当たると、欠けてへこんでいる場合があります。
溝の角がつぶれると、土はさらに溜まりやすくなりますし、掃除も面倒になります。
サンドウェッジは、長く使っているとサンドペーパーで擦ったように、フェース面が擦り減ってしまうことがあります。
このような場合は、メンテナンスを専門とする工房に依頼すると、溝彫りをしてくれます。
そのおかげでバックスピンの効いたアイアンショットが打てるようになりますが、一方で溝の削り方にはルール規制があるので注意が必要です。
メンテナンス用として、市販の溝彫りグッズがあります。
いままでウッドティで擦っていた部分を、そのグッズを使えば綺麗な溝になるはずです。
ガリガリと1度で溝を彫るのではなく、溝の中を磨くようになぞれば、やがてクッキリとした溝ができているはずです。
右手でつかむアイアンへッドの溝は洗剤での手入れが必要
アイアンの溝に入った土や泥が乾燥してセメントのように固まったものは、ブラシを使って水洗いするとある程度は落ちます。
あとは専用の溝彫りグッズで溝を擦れば手入れはできます。
これで表面的な汚れは綺麗になりましたが、実は目に見えない汚れが落ちていないことがあるのです。
キャディバッグからアイアンを抜くとき、ヘッドを握っていませんか。
しかもグローブをつけている左手ではなく、利き腕の右手で抜くことが多く、フェース面に手汗が付着します。
手汗と手垢は溝にも入り込むわけですが、皮脂汚れは水洗いだけでは落ちない場合があります。
それをもっとも綺麗に落とせるのはアルカリ性洗剤です。
手垢が酸性なのでアルカリ性の洗剤を使えば、簡単に落とすことができるからです。
ただアイアンのヘッドをアルカリ性洗剤で洗うと、変色する可能性があるので、安全性の高い中性洗剤で洗うのが一般的です。
『ガンコな脂汚れが簡単に落ちる』といわれる食器用洗剤を使って、スポンジ洗いをすれば皮脂汚れは落とせるでしょう。
アイアンの手入れ用グッズの溝彫りの使用はほどほどに
アイアンの手入れ用の溝彫りグッズは、溝の角がクッキリしてスピン量が実感できるので、1度擦り始めると止められなくなってしまうかもしれません。
イメージしたアプローチでなかったとき、「溝彫りに原因があるのでは?」と思い込んでしまい、手入れをしないと不安になるほど、エッジの効いた溝に依存してしまうことがあります。
ところが溝は現在ルールによって規制されています。
いわゆる角溝はルール違反で、丸溝しか認められていません。
2010年にルール制定されて、2024年から旧タイプの使用はアマチュアも規制対象となっています。
溝彫りグッズでゴリゴリ削ると、この丸溝が改変されてルール違反の角ばった溝になってしまうことがあるのです。
審判のいないゴルフだからこそ、公平性を保つルールには厳格でありたいものです。
手入れのつもりで溝を擦っていたら、やがて自分のアイアンがルール違反になっているのは本意ではないはずです。
溝は挟まった小石を取り除いたり汚れを落とたりする程度に軽く擦るだけで、日常の手入れは台所用のキューブタイプの汚れ落としを使うと良いかもしれません。
アイアンの溝を手入れするのは洗浄だけではない?
アイデア商品として100均ショップなどでも販売されている、キューブタイプのスポンジは、消しゴムのように擦るだけで汚れを落とす効果があります。
キューブの角を使えばアイアンの溝の中の手入れもできますし、なによりも水や洗剤がいらずいつでも手入れができる優れものです。
ズボンのポケットやキャディバッグのポケットに1個入れておけば、ラウンド中はその1個だけで十分でしょう。
そうして綺麗に溝を手入れするようになったことで、アドレスのときフェース面が気になってくるかもしれません。
溝が綺麗になったのであれば、フェースの下段の溝に白色や赤色をつけてみてはいかがでしょう。
市販されているホビー用やアイアン用のマネキュアを塗ると、スクエアにセットしやすくなります。
下段の溝のフェース部分にマスキングテープを貼って、はみ出してもフェースを汚さないように下準備すれば、簡単にラインを引くことができます。
洗う・擦る・削るという手入れのほかに、元の状態に戻す・より良く改良するという手入れを加えてみてはいかがでしょうか。
小まめにアイアンの溝の手入れを行うことが大事
アイアンの溝の手入れは小まめに行うようにしましょう。
溝に土が詰まると、乾燥してセメントのようになり、手入れをする時間がかかるからです。
長く使っていると溝の角が削れてくるので、専用の溝削りグッズを使って、ルールに抵触しない範囲でメンテナンスするとよいでしょう。
さらに白色ラインを入れるとヘッドがセットしやすくなるので、一緒に行ってみてください。