ジュニアのうちに、しかるべきプロからゴルフのレッスンを受けると、確実に上達しているようで、現在のトップアマやトッププロの多くはジュニア出身者です。
そこで自分の子供にレッスンを受けさせるときの、指導するプロの選択肢についてお話します。
本格的なジュニア用のゴルフレッスンを始めたプロゴルファー
トッププロの多くはジュニアからゴルフを始めています。
古くは中島常幸プロ、そのあとは丸山茂樹プロ、そして石川遼プロへと繋がっていますが、ジュニアゴルファーが圧倒的に多くなったのは宮里藍プロの活躍によるものといわれています。
折りしもジュニアレッスンが注目され、坂田信弘プロが主宰する坂田塾がジュニアのプロ化を後押しします。
それまでのゴルフ界はプロと一線を画していて、アマチュアゴルファーが「プロを目指す」といった時点でアマ資格のグレーゾーンだった時代もあったようです。
これはゴルフに限らず他のスポーツの高校野球も同様で、「崇高であること=金銭がからまない」と考えられていたのかもしれません。
ところが世界に通用するプロを育成するためには、スタート地点からプロを目指さないといけないという、自らの実体験を元に起塾したのが坂田プロだったわけです。
本人はゴルフ経験がなく、親はゴルフについて一切口出しをせずに、送迎などのサポートに徹することを条件が含まれた「本気モード」のジュニア育成が行われるようになりました。
ジュニアのゴルフレッスンのカギは飽きさせないプログラム
坂田プロが主宰するジュニア用のゴルフ塾は、日常のレッスンを他のプロが担当し、塾長が成長度合いを判断し、次のステップの練習へと進めるというプログラムでした。
子供には「プロになりたい」という夢を掲げさせることで、興味を持たせることに成功しています。
ジュニアの成長には「好きこそ物の上手なれ」で、まずは興味を持たせることが大事です。
次に飽きずに練習を続けていける環境を作ることも大切なことです。
飽きない練習法は身近な目標を立てて、そこに向かって努力をして、達成することで満足感を味わうことです。
ただ坂田プロの指導法は「褒めない」ともいわれていて、達成したらすぐに次の課題に向けての練習が開始されます。
プロを目指すジュニアレッスンでは、常に通過点であることを認識させて、現状に満足させないことが必要なのです。
他のジュニアと比べると、1日の練習量が圧倒的に多く、上手くならないわけはないのですが、子供たちは大会に出場しない限りそれを比較する術はありません。
プロを目指すジュニアのためのゴルフレッスンの効果とは?
プロを目指すジュニアだけが集まってゴルフレッスンが行われる坂田塾では、コースに出てもハーフスイングまでしか許されず、一定のスコアが出るまでは確実なミートを最優先としていたようです。
ただ見方を変えると、子供の身体は小さいために、フルスイングをしてもゴルフクラブの重さによって身体がブレてしまうことが想像されます。
一定期間おくことで身体的に成長して、ゴルフクラブの重さに耐えうる筋力ができるのを待っていたのかもしれません。
そうしてジュニアゴルフ界は坂田塾一色になり、独特のスイング理論が正論となっていきました。
そんな折、坂田塾とは関係なく成長し活躍する宮里藍プロや横峯さくらプロが現れ、さらには坂田塾の良いところをだけを参考にして独自に練習を重ねた石川遼プロたちが、ジュニアとして現れてきます。
この3人の特徴は坂田塾のコンパクトなスイングとは違い、将来を見据えた大きなスイングをしていたことにあります。
短期的に結果を残せるコンパクトなスイングがよいのか、将来を見据えた大きなスイングがよいのか、結果は育った子供たちの活躍によって知ることができます。
ジュニアに特化したゴルフレッスンとプロライセンスは別物?
坂田プロに師事したコンパクトなスイングの古閑美保プロや上田桃子プロ、大きなスイングをする宮里藍プロや石川遼プロは世界ツアーで活躍しました。
ゴルフには天性というものがあるのかは分かりませんが、藍ちゃん、遼くんにはそれがあるようにも思われます。
坂田プロが主宰する坂田塾はすでに閉塾していますので、我が子にジュニアのゴルフレッスンを受けさせるのであれば、ジュニアを対象にしたゴルフレッスンをしているプロの下に通うことになります。
もともとレッスンプロは、自身がプレーをすることで身を立てる決意をしてプロを目指し、やがて指導者のライセンスを取得して転身した人が多い職種です。
もちろん最初から指導者を目指した人もいるでしょうが、その中からジュニアに特化して指導者のプロとしてのライセンスを取った人は極わずかです。
ライセンスは持っていても得意分野はあるものです。
もしかするとトッププロを教える才能と、ジュニアを育てる才能は違うかもしれません。
ジュニアは技術だけではなく、飽きずに続けさせる指導法が必要になります。
ジュニアのゴルフレッスンはコース使用ができるプロを選ぶ
ジュニアに対するゴルフレッスンがどうなのかを見極めるには、指導するプロの戦績や人柄を調べてもよく分からないものです。
やはり実際に指導するところを見て、判断すると良いでしょう。
練習場で行われるレッスンであれば、クローズしていないので誰でも目にすることはできます。
遠目からでも指導を見て「褒めて伸ばす」タイプなら、継続性はあると考えられます。
逆にダメ出しばかりの指導やスパルタ式は、萎縮してしまう子が多く長続きしないかもしれません。
またレッスン内容などを確認して、ラウンドレッスンが頻繁に行われているのかもポイントになるでしょう。
ジュニアのレッスンは単調なものなので、坂田塾のように余程の覚悟がないと飽きてしまいます。
しかしながら定期的に他人と競うことができれば、現状の確認と目標ができて、より一生懸命に練習に取り組むはずです。
そのためには定期的なラウンドレッスンは不可欠なのですが、ゴルフコースと提携していないプロの場合は、正規料金でないとラウンドができません。
ジュニア時代のラウンド料がすべて正規料金なら、子供は続けたくても親が続けさせることができなくなってしまいます。
ゴルフレッスンのジュニア期間は意外に短期間が多い
ジュニアのゴルフレッスンを受けさせる場合、自分の経験値から教えるプロと、ゴルフの理論から教えるプロがいます。
どちらも一長一短ですが、マイナス面のほうが多いかもしれません。
ジュニア経験のあるプロの時代と今の子供は価値観が違うので、スパルタ的な指導法やダメ出しばかりだと、すぐに辞めてしまいます。
一方でゴルフ理論を主体に指導するレッスンの場合には、体型や体力が完成している大人であれば問題ありませんが、ジュニアには荷が重過ぎることがよくあります。
できれば、最初のころは球数制限なく打たせてくれて、しかも個別にレベルに合わせた指導をしてくれるレッスンが最良です。
子供の成長度合いは、個々によって違いますし、育った環境も違います。
できるだけ褒めて伸ばす指導法を取っていて、シングルクラスまでを目処にしたジュニアレッスンを受けられるところを探しましょう。
早くて中学、遅くても高校の部活としてのゴルフが始まると、また違った指導者からレッスンを受けることになります。
結果的に数年の指導となりますので、ゴルフのレッスンを受ける場合は、ジュニアの指導に長けたプロを探すようにしましょう。
ジュニアのゴルフレッスンは継続しなければ意味がない
ジュニアのうちにゴルフのレッスンを受けさせると、早く上達するといわれています。
無限の可能性を求めてプロの道に進む選択肢もありますが、一方で飽きたり嫌になったりすると、2度とゴルフクラブを握りたくないと思うかもしれません。
子供によって違いはありますが、褒めて伸ばしてくれるプロとめぐり合うことが継続のカギになると考えます。