高性能のドライバーほどコックを上手く使うことが必要です。
コックを使うことでその性能を余すことなく使いきれるからです。
本来は無意識の状態でもコックを使ってスイングをしていますが、意識して使うようになると勝手にほどけることがあります。
今回はコックの使い方と意図せずにほどけることを防ぐ練習法を紹介します。
ドライバーショットでコックがほどけるとダメなの?
速いヘッドスピードによる衝撃力がドライバーの飛距離には必要です。
スイングスピードが速いからといって、必ずしもヘッドスピードが速くなるわけではありません。
衝撃力の強さは、ドライバーを握るときの手首の角度が7割、残りの3割でスイングスピードと体重移動、そしてヘッドの重さとシャフトの弾性によって与えているというデータがあります。
つまりコックを上手く使うことができれば、小柄な女子プロ選手でもゆったりしてスイングで250ヤードを飛ばすようなドライバーショットができるのです。
ところがコックを意識的に使おうとすると、振り遅れてフェースが開いてスライスしたり、ダフリやトップしたりとミスに繋がってしまうこともあります。
ミスする原因の多くはアーリーリリースにあります。
コックが早くほどけることをアーリーリリースといいますが、もともとコックを早く作ることを指したアーリーコックの対義語になります。
まずはコックについて、そしてコックがほどけることの意味について確認していきましょう。
コックがほどけると正しいドライバーショットができない!
通常はテークバックでドライバーをトップまで引き上げると自然にコックはできます。
コックとは左手を前に突き出して親指を上に立てたとき、手首が直角になったその角度のことをいいます。
親指と腕でできる角度は、意識をしなくてもトップまでドライバーを引き上げると自然に作られていきますが、意識的にしないと「直角」になりません。
80度や70度の角度になることもありますし、中にはアドレスのときと変えずに、同じ手首の角度でトップの形を作っている場合もあります。
前者は「打ち急ぎ」に原因があり、後者は「方向性の不安」から再現性を求めた結果だと考えられます。
トップの時点で不完全なコックでは飛距離を伸ばすことはできませんし、また方向性も安定しません。
さらにダウンスイングでリリースポイントよりも早くにコックがほどけるようであれば、これもまた意味がなくなってしまいます。
そこで正しいコックの使い方を習得すれば、不完全なコックや途中でほどけることはなくなるはずです。
コックが先にほどけるのはドライバーのスイングが原因
ドライバーをトップの位置まで引き上げたとき、コックは直角の状態でなければなりません。
このとき右手首は甲側に折れていて、ドライバーのグリップを支えています。
右手首が甲側に直角に折れているとき、右手首から右肘までの腕は地面に対して垂直になっていて、右肘は地面を指しているはずです。
これが正しいトップの形なのですが、もしもコックが90度に満たなく70度程度の角度しかなければ、ダウンスイングのときにグリップが身体から離れていきます。
ヘッドが前方に倒れていき、それに合わせて曲げていた両肘が解放されて、剣道の竹刀を振り下ろすように前に向けてダウンスイングをしてしまいます。
理想的なダウンスイングは、グリップが右脇腹の近くから身体の正面に入ってきます。
少し窮屈に感じるかもしれませんが、グリップエンドの先がボールを指すように、振り下ろすとコックを使ったスイングをすることができます。
もしも先にコックがほどけるようであれば、グリップエンドの指す位置はボールよりも左側、さらにターゲットのほうを向いているかもしれません。
ドライバーショットはコックをほどくタイミングが難しい
ドライバーショットでコックをリリースするタイミングは、スイングスピードやスイングプレーンによって変わってきますし、技量そのものの違いも影響してきます。
ダウンスイングでは、できるだけ直角のコックの形を維持して、アドレスでグリップを構えたときの直前まで堪えていきたいわけです。
グリップがアドレスのときのポジションになる寸前でコックがほどけると、地面とほぼ平行になっていたシャフトは、手首によって瞬時に振り下ろすことになります。
さらに飛球線と平行だった左手甲を90度左に回転させて垂直にすると、身体の右側にあったヘッドはアドレスでセットした正面に向けて回転します。
これら上から下への振り下ろしと90度左回転の2つの動きで、腕を振る動きよりもヘッドスピードが加速します。
これが理想的なコックのリリースですが、タイミングが狂って遅くなるとフェースは開いてスライスしますし、早すぎるとフェースは閉じてフックします。
そこで意識的にコックをリリースする必要があるです。
ドライバーをスイングしたらコックは自然にほどける?
右打ちでスイングしその返しで左打ちのスイングをして、これをしばらく続けると身体の余分な力が抜けていき、ヘッドの重みでドライバーを振っていることが分かってきます。
いわゆる無心なゴルフスイングによって、トップの位置ではコックが固まり、スイングの最下点では自然にコックがほどける状態になっていくはずです。
無意識でもコックはほどけるのですが、あえてインパクトの直前にコックをリリースするのはヘッドスピードの加速が目的だからです。
テークバックで十分に捻転し、コックが固まったトップから、グリップエンドを先頭にボールへと振り下ろしていきます。
コックをリリースするタイミングは、グリップが右腿に達するころです。
上半身は前傾姿勢をとっていますから、グリップを真っ直ぐ下に落とすようにすれば、瞬時に右腿の手前まで到達します。
ここで左手親指を伸ばしてコックをほどき、同時に左手甲を90度回転させるために、右手首を伸ばします。
これでコックを使う正しいスイングはできるはずです。
どうしてもコックがほどけるのなら両手でドライバーを握る
メカニズムさえ理解できれば、コックを使うドライバーショットは簡単なはずです。
ただこれは机上の論理であって、実際には相当な練習量が必要ですし、プロでも試合中にタイミングが合わずにプッシュアウトしているところを中継されているくらい難しいものです。
アマチュアのコックがほどける原因は、トップでの不完全なコックやスイングが身体から離れてしまうことです。
トップの位置でのコックは、右肘が地面を指していれば問題ありませんし、スイングは身体の近くで振るように、右肘を内側に入れるようにダウンスイングするイメージを持てば防げるはずです。
どうしても違和感があれば、最初に両手を合わせてそのままグリップを握ります。
先に左手で握り、その左手を包むようにグリップの同じ箇所を握ります。
いつもは右手が遠い状態でスイングをしていましたが、両手を一体にすることで身体に近づけて振り切ることができるようになります。
こうして1度でも正しいスイング軌道を体験すると身体が勝手に覚えてくれるので、途中でコックがほどけることはなくなるはずです。
スイング中にコックがほどけるのを防ぐ方法
ドライバーのスイング中にコックが勝手にほどけることを予防するには、トップの位置でコックが形成されていることは重要です。
グリップエンドをボールに向けてダウンスイングをし、右腿まで達したときにコックをリリースすれば、加速のついたヘッドスピードでインパクトすることができるはずです。