ドライバーのリシャフトは専門の工房に依頼する方法が一般的ですが、自分で交換することもできます。
ただし自作だと初期投資に結構なお金が掛かるため、工賃を浮かせることが目的であれば効果は薄いかもしれません。
それでも長い目を見て交換回数を積み重ねていけば、その初期投資分もバックできるようにはなるでしょう。
そこで今回は、一度はやってみたいドライバーのリシャフトに必要な工具と作業の方法を紹介します。
ドライバーのリシャフト前に合っているかを確かめる方法
ドライバー自体は気に入っているのに、ヘッドスピードが速くなったことでシャフトの硬さが合わなくなったときは、リシャフトで自分のスイングに合わせ使い続ける方法があります。
仮にヘッドスピードがコンスタントに43m/sを超えるようになったことから、RシャフトをSシャフトに交換したいと思ったとします。
この場合は希望するフレックスが決まっているので、同じ種類のシャフトを選んでRからSに硬さを変えれば良いだけです。
しかしながらヘッドスピードが速くなったことで、ヘッドの効きが気になる場合には、キックポイントも考え直すべきポイントになってきます。
その場合には、仮にRシャフトでD0だったものを、SシャフトでD2にするといった変更が必要になるでしょう。
そこで問題なのは、その変更が正しいのかを知ることができないことです。
リシャフトして使ってみて合わなければ、さらにリシャフトするか、もしくは鉛を使ってバランス調整をするしか方法はありません。
ゴルフ量販店に行くと、同タイプでフレックスやバランスの違うものが並んでいますので、まずは手にとって感触を確かめることが大切です。
専門工房に依頼するのがドライバーをリシャフトする確実な方法
基本的には、ドライバーのリシャフトを始めてしまうと元に戻すことはできません。
正確にはヘッドからシャフトを抜いて、他のシャフトを挿して使用してみて、また抜いて古いシャフトをつけることはできますが、リシャフトする理由があったから古いシャフトを抜いたのに、それを元に戻すことが正しいはずがありません。
仮に戻したとしても、常に違和感の中で使い続けることになり、プラス要素はないわけです。
つまりシャフトを抜いた瞬間に、元に戻す意味はなくなったということになります。
できるのであれば、リシャフト後と同じ仕様のドライバーを手にしてみること、チャンスがあれば試打をしてみることが大切です。
リシャフトした結果を知っておくことが、シャフト交換の失敗しない方法だからです。
新しいシャフトが装着されたときの状態に納得ができたら、専門の工房にリシャフトの依頼をします。
専門の工房であればバランス調整も一緒にしてくれますので、仕上がりはほぼ満足のいくものにしてくれるでしょう。
リシャフトのことを知っても失敗することはある
ドライバーのリシャフトを安価に済ませたいと、自分で交換作業を行う場合があります。
リシャフトにはシャフトの抜き挿しと、グリップの装着の作業が必要です。
当然依頼すれば工賃が掛かることになるため、自分で行えばその数千円の出費を抑えることができます。
またネットショップでは低価格でシャフトを入手できる場合もあるので、手間賃と本体価格差を合わせるとかなりお得になることもあります。
一方で、作業にはいくつかの工具が必要であり、自宅にないものは購入しなければなりません。
また接続部分を固定する接着剤などは少量で済みますが、購入単位が多いものもあるので、1回限りのシャフト交換であれば、出費額のほうが多くなる可能性は高いでしょう。
さらに仕上がり具合の問題もあります。
作業方法は簡単ですが、何事も初心者に失敗はつき物です。
リシャフトの場合、失敗すると再交換しなければなりません。
最悪の場合は、もう1度同じ経費がかかるかもしれないことを覚悟しておく必要があります。
ドライバーをセルフリシャフトする方法と注意点
自分で行うドライバーのリシャフトの方法は、シャフトの抜き挿しとグリップ装着の2工程に分かれます。
まずシャフトの接続部分を「ヒートガン」で熱して接着力を弱くし抜き取ります。
その後、ヘッドの接続内部をクリーニングしてから、新しいシャフトを接着して、固定したら必要な長さにカットしグリップを装着して完了です。
作業としては簡単なのですが、最初の問題はヒートガンを持っていないことです。
簡単に言うと炎が出ないバーナーのようなもので、施工工事用のドライヤーを想像すると良いかもしれません。
価格はピンキリですが、安価なものであれば5,000円以下で探すことができるかもしれません。
またシャフトを抜くときは、ヘッドを固定してシャフトをねじることになりますが、ヒートガンの熱でシャフトのカーボン繊維がバラバラになることがあります。
また熱し方が足りずに、シャフトの先端が折れてしまうこともあります。
どちらにしても、再利用できなくなる前提があることを理解しておきましょう。
リシャフトに際し「抜き挿し」に必要な工具
ドライバーのリシャフトを自作する方法を覚えるとともに、先ほどのリスクについて理解することが大切です。
ここからは、先ほど簡略に説明したリシャフト作業工程をまとめます。
シャフトを抜くために必要なのは、「ヒートガン」と「万力」です。
シャフトを万力で挟み、ヒートガンで接続部分を熱してヘッドを回すと外れます。
1度の加熱で外すのではなく、何度か加熱と捻るを繰り返して、無理なく外すようにしてください。
ヘッドはかなり熱くなることがありますから、濡らした雑巾を被せておくと良いでしょう。
また最初は最低1分は熱しないと、ほとんど抜けることはありません。
運悪くシャフトが折れてしまい、内部にシャフトの先端が残った場合には、「ドリル」の刃を低速回転させて丁寧に取り除きます。
奥まで突っ込んでしまうと、接着剤のヘッド内部流れ込み防止用の蓋まで削ってしまいますので気をつけてください。
ホーゼルの内部に残った接着剤を耳かきのようなもので取り除き、灯油やガソリンなど接着剤の「溶剤」となるものをティッシュに染み込ませ完全に拭き取ります。
新しいシャフトの先端の塗装をカッターの刃でないほうを使って削り落とした後、「ソケット」を差してから、先端とホーゼルの中に2液タイプの「接着剤」を万遍なくつけて装着します。
ソケットとホーゼルに隙間がないところまで入ったら、シャフトの装着は完了です。
このとき一気に押し込むと空気と共に接着剤が溢れてきます。
それでは接着強度が落ちてしまいますから、空気を押し出すようにゆっくり押し込んでください。
接着剤は物によっては2時間程度で硬化すると表記されているかもしれませんが、半日は放置してシャフトをひねってもびくともしないほど完全に固着したのを確認してから、グリップの装着にかかります。
ドライバーをリシャフトする方法を知っているとプラスになる
リシャフトの仕上げはドライバーにグリップを装着することです。
グリップの装着の手順は、シャフトに両面テープを巻いて、その上に溶剤をかけて表面が滑るようにしてからグリップを装着し、あとは乾燥させれば完了です。
まず新しいグリップがどこまで入るのかを確認し、そこから両面テープを貼っていきます。
貼り方は螺旋巻きと縦貼りの2つの方法がありますが、初めてのときはシャフトの上部を縦に貼り、そのまま切らずに折り返して裏側も貼る方法が良いでしょう。
テープの上紙を取り除きます。
そうしたら、グリップエンドの空気穴を液漏れしないように塞いだら、溶剤を多めに入れ、さらにテープにも万遍なくかけたら、間髪入れずグリップを装着してください。
グリップには天地があるため、装着したらすぐにヘッドを敷居に当てて、シャフトを真っ直ぐにした状態でグリップを回してフェース面とグリップの天地を微調整します。
あとは2日間ほど放置すれば、乾燥して固着しているはずです。
リシャフの作業自体は簡単ですが、ヘッドとの接続が完全でなければ使用中にヘッドが抜ける恐れがありますし、グリップの微調整が不完全だとアドレスでフェースをスクエアにセットできないこともあります。
そうした装着後のリスクを考えると専門工房への依頼は安心できますが、これからの長いゴルフライフを考えるとセルフメンテナンスができることはプラスになるでしょう。
自分でやるならリシャフトのリスクを理解することが大切
ドライバーのリシャフトは専門工房に依頼するのが一般的ですが、自作するときはそれなりの工具が必要です。
経費を浮かせる利点だけではなく、作業方法や注意点を知った上で、失敗のリスクを理解してから始めることが大切です。