各クラブのシャフトはどのように決めていますか?
一般的には、ヘッドスピードを参考に決めている人が多いでしょう。
シャフトには、フレックスの他にキックポイント(調子)やトルクといったスペックがあります。
今回は、シャフトのトルクに注目して話を進めます。
ドライバーのシャフト選びが重要な理由
なぜ、ドライバーに注力するかというと、このクラブが特別シャフトの影響を受けやすいからです。
シャフトは、しなりを利用しヘッドスピードを上げるだけではなく、手からクラブヘッドへ動きを伝達するパーツであることが大前提です。
シャフトが長くなればなるほど、シャフトそのものの影響は大きく出てきます。
例えば、普段使うお箸と料理で使う菜箸はどちらが使いやすいでしょうか。
大半の人が、普段使うお箸のほうが扱いやすいと答えることでしょう。
短いものは、手からの意思伝達がスムーズにいきますが、長いとそうではありません。
長いものは、そのものの特性により先端の動きに影響が強く出るからです。
ドライバーはクラブの中で最も長いシャフトを用いています。
クラブの長さは、メンズモデルで約45~47インチほどあります。
他のシャフトに比べてシャフトのしなり、ねじれも必然的に大きくなり、手元から動きをクラブヘッドに伝えるのが難しいと言って良いでしょう。
このようなシャフトの動きを判断する材料になるのが、フレックス、キックポイント、トルク、重量といったスペックです。
シャフト選びはヘッドスピードが重要?
ここからシャフトの選び方について考えていきましょう。
皆さんはシャフトを選ぶ際にどのように選んでいますか?
一般的に言われるのが、ヘッドスピードを参考に選ぶ方法です。
実際、シャフトには推奨とされるヘッドスピードの記載がありますが、それだけでフレックスを決めてしまって本当に良いのでしょうか。
答えは、「No」です。
簡単なところでいうと、シャフトには重量があるからです。
同じフレックス表記のものでも、軽いとヘッドスピードが出やすく、重いと遅くなります。
また軽いと軟らかく、重いと硬くなる傾向があります。
そのため最低限、重さはどのくらいが適正なのかは考えておきましょう。
では、もう少し詳しく考えてみます。
シャフトの製品情報を見るとキックポイント、トルク、重量など細かく記載があります。
なぜ、そのような情報の記載があるのでしょうか。
答えは、自分に合ったシャフト選びに必要な客観的なデータだからです。
キックポイントやトルクを気にしないでシャフトを選んだ場合、タイミングが変わってしまったり、時には曲がり球が出やすくなることもあります。
ヘッドスピードだけでなく、その他の情報を含めたシャフトスペックが重要であることが分かるはずです。
シャフトのトルクとは一体何?
では、今回の本題であるシャフトの『トルク』について解説していきます。
トルクがどんなものかイメージができますか。
トルクにはいろいろな意味がありますが、ゴルフではシャフトの回転力のことを指します。
つまり、シャフトがどの程度捻じれるかを数字で表しているものになります。
トルクは数字で表記されますが、数字が大きいと捻じれやすく、小さいと捻じれにくいと覚えてください。
ヘッドスピードが遅くても、トルクの大きいものを使えば、シャフトの捻れを大きく使うことができるのです。
シャフトが捻じれると、元の形に戻ろうとするため、ドライバーのヘッドが返りやすくなり、つかまった強いボールを放てます。
スイングに対してヘッドが返りすぎる、逆にヘッドが返ってこないなどあれば、フレックスだけでなくトルクも注意してみると良いでしょう。
ここでは、簡単なトルクの説明と一般的なスイングに影響する内容をまとめました。
次は、トルクがシャフトにどのような影響を与えているのかを考えます。
トルクによってシャフトの感じ方が違う
ここでは、シャフトの硬さの感じ方についてまとめます。
ヘッドスピードを基準に選ぶシャフトのフレックスですが、実は統一されていないことをご存じですか。
シャフトのフレックスは、メーカーごとによって基準が異なるため、同じフレックス表記のものでも硬さが大きく違うのです。
ましてや同じメーカー内でも、シャフトを作った流れ、プロ用に開発したのか、アマチュア用に開発したのかによっても硬さが違ったりします。
差が大きいものだと、SとRが同じということもあるほどです。
そこで、シャフトのフレックスを統一してみるのに役立つのが振動数と呼ばれるものです。
振動数は、しなり具合を数値で表しており、振動数が多ければ硬く、少なければ軟らかいシャフトに分類できます。
振動数とヘッドスピードの関係は後程話しますが、体系化されており、適したシャフトを選ぶことができます。
では、振動数が分かれば大丈夫かというとそうではありません。
同じ振動数のシャフトでも、トルクが大きいものであれば軟らかく感じ、小さいものであれば硬く感じるからです。
したがって同じフレックス表記でも、振動数とトルクの関係を調整して、硬さ違いやヘッドの返り方が違うものなどを作ることができます。
つまり、シャフトのフレックスにおいて、トルクは硬さの感じ方に影響を与える要素のひとつなのです。
ヘッドスピードとシャフトの振動数
そもそも振動数とはどういったものなのでしょうか。
一般的に振動数は、シャフトのしなり回数を数値にして硬さを表したものです。
例えば、軟らかいシャフトであれば、しなりが大きくなるため、1往復に時間を要するため、しなりの回数が減ります。
一方硬いシャフトはしなりにくく復元力が高いため、1往復が短く、しなる回数が増えます。
振動数は手元を固定して、クラブヘッドをしならせ、そのしなった回数(往復回数)が1分間に何回かを最初の数秒だけで計測します。
単位は「cpm」です。
一般的に40m/sのヘッドスピードのゴルファーは245cpm±3程度、45m/sの人で260cpm±3程度が適正と言われています。
基本的には1m/sで3cpmの違いと考えれば大丈夫でしょう。
なお、一般的にフレックスで表記されているものだと、50g前後のRシャフトで230~240cpm程度、Sシャフトで240~250cpm程度と考えてください。
こうみると45m/s以上のゴルファーは、一般的なSシャフトでも少し軟らかいことが分かります。
ただし、トルクやキックポイントによって、多少振動数を抑えて作るケースがあります。
トルクが小さい、キックポイントが元調子のものは、先調子のものに比べて振動数が多少減る(10cpm程度)ため、その辺りも考慮して数値を比較するようにしましょう。
ヘッドスピードとトルクを考えて、ドライバーを安定させる
ここまでの説明で、シャフトについて、ある程度知識がついたことと思います。
最後に、ドライバーを安定させるためにどのように考えれば良いか、考え方をまとめます。
まず大前提として、ヘッドスピードによってシャフトの動きは変わります。
自分のスイングに合わせるのであれば、シャフトを付け替える、ドライバーを買い替えるのが1番の近道です。
それが条件的に難しければ、シャフトの特性を理解した上でうまくアジャストしていくことも大切です。
その日の調子で、ヘッドスピードも変わったりすることもあるでしょう。
ドライバーで左右にボールがずれてしまう場合は、ヘッドスピードとトルクの関係を考えて調整するようにしましょう。
もし、ヘッドスピードが速いのにトルクの大きいものを使っているのであれば、通常のインパクトのタイミングでヘッドが早く返ってしまうことが考えられます。
つまり、左側へのミスショットが多いケースです。
そのようなときは、少しボールを内側に置いてみたり、リズムを少しゆっくりにすることでインパクトをスクエアに迎えることができたりします。
このように、ヘッドスピードとトルクの関係を理解することで、状況に応じた対処もできるようになります。
必ず自分のスイングに合ったシャフトを選ぶ
シャフトの選び方について、トルクという観点を中心に話をしました。
最後に、トルクを理解して上でのアジャスト方法をお伝えしましたが、理想は自分に合ったシャフトを見つけて使うことです。
適正値に対して、フレックスやトルクにズレがある場合はリシャフトを検討してみましょう。