アイアンショットが不安定なとき、バランス調整をしてみると、ヘッドの軌道が安定するかもしれません。
ただしアイアンの場合は1本のバランスを変えるだけだと、前後の番手を持ったときに違和感が出てしまいます。
そのため今回はアイアンの上手なバランス調整を考えていきましょう。
アイアンのバランス調整が必要なケースと考え方
アイアンショットの球筋が不安定なときは、バランスが合っていないことが疑われます。
普通にスイングができていたのに、ある日を境に球筋が乱れ始めることがあります。
ボールの行き先が不安定な荒れ球になると、それまで安定していたはずのスイングまでが崩れてしまいます。
その原因の多くはゴルフが上達したことによるものです。
長い棒を振り回して、その棒の先に球を当てて、思い通りの箇所まで運ぶことに慣れたきたからです。
いわゆるヘッドコントロールが身につくと、どんどんヘッドスピードは速くなり、スイング自体が進化してきます。
そうすると、それまでのシャフトでは軟らかすぎたり、ヘッドが効きすぎていたりと不都合な部分が生じてきます。
シャフトの硬さを表すRやSなどのフレックスを合わせる場合は、シャフをト交換することになりますが、D0やD2などのバランスは調整して合わせることができます。
バランスが違う同じ重量アイアンをスイングする、例えばD4とD0を比べたとき、D4のほうがはるかに重く感じるのです。
バランス調整をすることで使いやすいアイアンに変える
ゴルフが上手くなると、バランスの重いクラブを好む傾向が強くなるようです。
一般男性が使うゴルフクラブのバランスはD0~D2が目安となっていますが、上級ゴルファーになってくるとD0よりもD4のほうを好むようです。
おそらく昔のプロゴルファーの多くが好むバランスが重たいほうだったことが、その要因だったと考えられます。
しかしながら今のプロはそんなに重いバランスのクラブを使っていません。
カーボンシャフトや軽量スチールが開発されたことで、軽いシャフトのクラブを活かすスイングに変わってきたことがその理由と考えられます。
全体重量が軽くなるとヘッドスピードが増すため、ヘッドだけが重いと感じるクラブは扱い難くなるからです。
逆にヘッドの重さ感覚を消すために、グリップ側に鉛テープを貼ってバランスを調整しているゴルファーが増えてきています。
そんな環境の中、アイアンについても軽量シャフトのシェアが大きくなっていますが、一方アイアンに限っては重いスチールの神話は消えていません。
アイアンのバランス調整がいらないシャフトがある?
アイアンのシャフトは、硬くて丈夫なものが良いと、信じている人は今も大勢います。
確かにヒッコリー(木製)のシャフトからスチールのシャフトに変わったときには、そう信じていた人はたくさんいましたが、現行のカーボンシャフトを使って「ダフったら折れた」なんてことはないはずです。
またカーボンは、軽すぎて扱い難いという神話も残っているようです。
ドライバーで当たり前のように使っているカーボンシャフトの進化で、既に頭の中は切り替わっているとは思いますが、それでもアイアンに限って「カーボン=軽い」ので頼りないと感じているようです。
カーボンという名称ですが、炭素繊維のみで作られているわけではないため、スチールシャフトよりも重いタイプも作れますしXX相当の硬さもあります。
当然ですがバランスも製造段階で変えられて、「調整いらず」で装着することも可能になっています。
ただしオーダーメイドのシャフトであれば、アイアン1本当たり数万円といった高額になるのは当然ですから、一般ゴルファーには高嶺の花となっているのが現況です。
アイアンのバランスは前後のクラブとの調整が難しい
ゴルフクラブのバランスについて、勘違いしていることが多いのはアイアンの重さについてです。
一般的なアイアンセットであれば、シャフトの長さは3番アイアンから順に、0.5インチずつ短くなっていきます。
長さの違うものを同じ重さで作ってはいないのです。
もしも5番アイアンで、バランスを合わせてD0を選んだとすると、3番アイアンでは15グラム程度軽くなっていますし、9番アイアンでは30グラム程度重くなっています。
つまりシャフトが短いほど、同じバランスに揃えるよう重く作られているため、スイングリズムが一定でない人にとっては、実際の9番アイアンはD3かD4に感じることがあるかもしれません。
9番アイアンをショットのクラブとして活用する場合は、およそ120ヤードの飛距離の中で様々な球筋に打ち分けたいわけです。
ヘッドが効きすぎていると感じると、コントロールは難しく、どんな打ち方をしても融通が利きにくいため真っ直ぐにしか飛ばないかもしれません。
そうするとグリップ側に鉛テープを貼って、ヘッドを軽くする調整を行ってしまおうとするのです。
もちろん単独の1本だけなら調整しても問題はありませんが、アイアンセットの中でその1本が前後と連結しているわけですから、すべてを微調整して使い勝手の良いバランスに変えないとセットが狂ってきます。
アイアンのバランス調整をする前に確認すべきこと
実際にアイアンのバランス調整を行う場合はヘッドの効き、つまりヘッド側の重さをどのように感じているかを自覚することが大切です。
同じアイアンを2人のゴルファーがスイングをしたとき、1人はヘッドが軽いと言い、もう1人はヘッドが重いと感じることがあります。
感覚とはそのようなものですから、まずは自分の感覚を正確に知ることが大切です。
アイアンセット全体のバランスを考えて、統一感を出すのであれば、中間の番手から調整を始めて、その前後の番手のバランスを調整していくと、違和感なく進められるはずです。
実際のウェイトの鉛は0.3グラムから0.5グラム程度でスタートして、ショートアイアンに近づくほどヘッドに重さを足していかないとバランスが整いません。
最終的に巡り巡って、最初のアイアンで3グラムもの鉛板を貼ることは良くあります。
ただ後半になると、最初のバランスに合わせていくことが大変になることもありますから、最初の1本に固執しないように調整しましょう。
アイアンセットのバランス調整は専門のクラフトマンへ?
アイアンのバランス調整と言えば、ヘッドに貼る鉛板とシャフトに巻く鉛テープが頭に浮かぶでしょう。
ただ重さの神話を重視しているゴルファーにとっては、現行の軽いアイアンが不安要素になっていることがあります。
そのようなときは、鉛を貼っても効果は微々たるものですから、シャフトの中にバランスを変える金属棒を入れないと不安を取り除けないかもしれません。
チップ(先端)側に装着するタイプであれば、1度ヘッドからシャフトを抜いてウェイトを装着し、それからシャフトを元の通りに戻さなければなりません。
またグリップ側を重くする場合には、グリップを外して、シャフトエンドからカウンターウェイトを入れて、再度グリップラバーを装着します。
かなり大雑把に思えますが、ウェイトの種類は豊富ですから、自分に合った重さに変えることができます。
ただしヘッドやグリップを外した状態で、バランス調整を行うため、あらかじめ何グラム増量するかを決めておかなければなりません。
さらにシャフトの抜き挿しには専用の工具が必要になりますし、グリップを外して再利用するのにも工具と作業の技術が必要です。
DIYするにはハードルが非常に高いため、本数は多いですがクラフトマンのいるショップに持ち込んで、相談し依頼したほうが確実に調整できるでしょう。
自分で行うアイアンのバランス調整は鉛を貼るのみ
アイアンのバランス調整をする場合には、1本だけにウェイトを貼っても、前後の番手を持ったときに違和感が生じるため、アイアンセットの中の統一感を意識しておかなければ上手くいきません。
とりあえずヘッドに貼る鉛板、シャフトに巻く鉛テープがあれば、自分で調整することができます。
ただし、調整による数値合わせのドツボにハマらぬよう気をつけてください。