一度覚えたグリップの握り方は、何かキッカケがないと変更しないかもしれません。
しかし改めて考えてみると、その握り方はゴルフを始めたとき、特に理由もなく決めたものではないでしょうか。
そこで今回は、自分にとって正しい握り方はどんなものなのか考えてみましょう。
ゴルフを始めたときのグリップの握り方を変えない理由
ゴルフを始めたときに覚えたグリップの握り方は、多くのゴルファーにとって余程のことがない限り変えることはないものです。
その余程のこととは、「打ったボールが荒れてどうしようもない」とか、「トップやダフリが頻繁に出る」といったトラブル続出に見舞われたときです。
しかし最初の段階で、いくつかの握り方の中からその握り方を選択したのかを考えると、深い意味はなかったはずです。
おそらく最初に手ほどきをしてくれた先輩ゴルファーが、「グリップの握り方はこうするもの」と教えてくれたものを、疑うことなく通してきたのではないでしょうか。
少しゴルフを知っている先輩であれば、手のサイズが小さく握力が弱そうならインターロッキングを勧めて、一般的な体格とパワーであればオーバーラッピングを勧めてくることがあります。
もしかするとそのとき、「右手の力を弱めるため」「左手主導」と、付け加えていたかもしれません。
しかしながら、体格やパワーによるオーバーラッピングとインターロッキングの説明は正解とは言い難く、グリップによって右手の力を弱めることも正しいことではないようです。
左手主導のグリップの握り方はゴルフを下手にする
ゴルフをする人の約7割が、スライスに悩みを抱えた経験があるそうです。
そのスライスの理由は様々ですが、インパクトで自分を指すべきはずのグリップエンドが、左側に向いているためにフェースが開きボールを擦ってしまったものが多いです。
そのときの両手のバランスを見ると、右手を十分に使っていないことが原因である場合があります。
その経験をすでにクリアした人にとっては、右手を少し効かせれば良いだけだと分かりますが、初心者はひたすらボールを打つことで直そうとして、多くの時間を費やすことになります。
もしかしたら、この時点では、ベースボールグリップで握っていたほうが右手を使うスイングを覚えやすかったかもしれません。
「ベースボールグリップはフックする」と言われますが、初心者が悩んでいるのはスライスです。
解決の糸口を見つけるころには、悪い癖がついてしまって、正しいスイングの仕方は分かっていても体現できないようになってしまうこともあります。
早い段階で「スイングは両手でするもの」と理解するためには、グリップの握り方をシンプルなベースボールグリップにするべきです。
ゴルフの上達に合わせてグリップの握り方を変える
グリップの握り方は、ゴルフの成長に伴って変えていくことが望ましいでしょう。
ベースボールグリップでスイングをすると、早い段階でフェースローテーションを覚えることができます。
飛球線上にあるボールに対して、インサイドからヘッドを合わせていき、インパクトで飛球線に対して直角になり、その後はインサイドへと抜けていきます。
このときフェース面の動きは、インパクトの直前まで開いて、インパクト後は閉じています。
早い段階でこのスイングができるようにならないと、頭では分かっていても実際のスイングではヘッドを後方から真っ直ぐに合わせようとしてしまいます
テークバックで必要以上にヘッドを後方に引いているのは、この真っ直ぐのスイング軌道を求めているからです。
体からこの悪い癖を抜こうとしても、一旦覚えてしまったスイングリズムは抜けるまでに相当の努力と時間が必要です。
フェースローテーションを体で覚えて、もしもその時点でフックに悩みを持つようであれば、別の握り方に変えれば良いだけです。
ゴルフスイングに影響を与えるグリップの握り方と構え方
終生同じグリップの握り方をする必要はありません。
ゴルフの歴史を振り返ると、主流だったベースボールグリップの時代からインターロッキングの時代へと移ります。
さらにインターロッキングだったプロゴルファーが小指を怪我したことから、仕方なしに握ったのがオーバーラッピングだっただけのことです。
それぞれの時代の人気ゴルファーの握り方を模倣したものが、今の握り方として残っているだけですから、1つ1つの握り方の「理由」は後付けのものなのです。
つまり自分に合った握り方であれば、どんな握り方であっても問題はありません。
唯一気をつけたいのは、両肩から腕は伸びているのを理解することです。
アドレスの姿勢は上半身を前傾させて、肩から下りてくる腕が地面と垂直であることが基本です。
ダラリを下ろした両手を合わせたところがグリップを構える位置になるわけですが、実際には左手が手前側で右手が先端側を握ります。
ほんの少しですが、グリップを握る右手のほうが遠くなるわけです。
手のひらを合わせるグリップの握り方がゴルフの基本
正しいアドレスの姿勢をとってグリップを握ると、右手のほうが遠い位置を握ることになるため、当然ですが右肩が前に出てしまいます。
その状態を「体が開く」といって、アウトサイドインのスイングの元凶としている、ゴルフではいけないアドレスの姿勢の代表格になっています。
手のひらを合わせる握り方をしたのに、右肩が前に出る姿勢はスイングをする上でマイナスになります。
これを修正するためには、ボールを右側に置いてグリップを少しだけ右側に移動するか、シャフトを傾けてハンドファーストで構えます。
とても簡単そうですが、右肩が前に出る悪い癖は、すでに体に染み込んでいるので、左手でサポートをしないと修正することはできません。
女子プロゴルファーがアドレスに入るときに、右胸の上、鎖骨の辺りに左手を当てているところを見たことありませんか。
軽く右肩を押すことで、前に出ている右肩が矯正されます。
毎回この動作をルーティンにしても問題はありませんが、グリップの握り方を変えるだけでも、この悪い癖は体から抜けていきます。
ゴルフの歴史を振り返ってグリップの握り方を決める
グリップの握り方は、両手でしっかり握るベースボールグリップが原点です。
そのベースボールグリップから派生して、インパクトでのフェースの向きを安定させようとしたのがテンフィンガーグリップです。
ベースボールグリップは親指を巻きつけて握りますが、テンフィンガーグリップの握り方はグリップの上に親指を置いて押さえます。
親指でグリップを上から押すことで、過度なアームローテーションがなくなり、インパクトでフェースを合わせやすくします。
この2つはスイングスピードが主体の握り方ですが、今はコッキングのしやすい握り方が主体となっています。
インパクトで左手首(コック)を小指側に曲げる動作をすることで飛距離アップに繋げているのです。
ゴルフクラブを構えてヘッドを上下に振ったとき、この上から下の動きがコッキングです。
釣り竿でルアーや針先を遠くに投げる動作を加えるためには、インターロッキンググリップやオーバーラッピンググリップが適していたわけです。
つまり意識的にコックを使うスイングができるようになったら、一般的なグリップの握り方に変えていくと良いかもしれません。
ゴルフのレベルに合わせるのがグリップの正しい握り方
正しい握り方とされるオーバーラッピンググリップは、「怪我の功名」からの偶然の産物でしかありません。
ゴルフを始めるときはベースボールグリップ、そしてコックを使うスイングが必要になった時点で、握り方を変える選択をしたほうがスムーズに上達していけるかもしれません。