ゴルフクラブにとってシャフトは重要な役割を果たしています。
アマチュアゴルファーだから知らなくて良いというわけではなく、シャフトの硬さやヘッドスピードとの関係について詳しく知っておくことはスイングを作る上でも役に立ちます。
そこで今回はシャフトについて掘り下げていきます。
ヘッドスピード以外に考えることがある
シャフトの選び方についてどれくらい知識をお持ちですか。
レディースモデルにはL/Aの2種類、メンズモデルには、R/SR/S/Xの4種類あるのが一般的です。
それぞれメーカーのカタログを見ると、フレックス(硬さ)に対して推奨するヘッドスピードが記載されています。
フレックス表記はメーカーによって異なりますが、おおむね次の通りです。
L:30m/s~35m/s
A:33m/s~38m/s
R:36m/s~42m/s
SR:38m/s~44m/s
S:42m/s~50m/s
X:47m/s~55m/s
フレックス毎で、ヘッドスピードが重複するところがあることに気づきます。
これはどのように判断したら良いのでしょうか。
例えばヘッドスピードが42m/sのゴルファーであれば、R/SR/Sどれでも適合することになります。
だからと言って適当に選んでも良いのでしょか。
答えは「NO」です。
推奨されるヘッドスピードが重複する場合、それぞれのシャフトの硬さの特徴を理解して選ぶ必要があります。
シャフトの硬さによる違い
推奨のヘッドスピードが重複することから、ヘッドスピード以外にシャフトを選ぶ上で考えるべきことがあると言えます。
ここではシャフトの硬さによる特徴をいくつか紹介します。
●軟らかいシャフトのメリット
・少ない力でシャフトのしなりを利用できるため、力が少ないゴルファーでも飛距離を出しやすい
・しなりを感じやすく、ヘッドの重さを感じやすいため、切り返しのタイミングが取りやすい
・シャフトのしなりでヘッドが返りやすく上を向きやすいため、ボールがつかまって上がりやすい
●軟らかいシャフトのデメリット
・シャフトの動きが大きいため、タイミングが狂うとミスショットで曲がりやすくなる
・力に対して軟らかすぎるとヘッドの挙動が安定しない
●硬いシャフトのメリット
・インパクトのタイミングが取りやすい
・ミート率が揃いやすい
・しなりが少ない分ミスショットで曲がりにくい
●硬いシャフトのデメリット
・力が無いと、飛距離が出にくい
・しなりが少ないため、切り返しのタイミングが取りづらい
・ヘッドスピードが足りないとボールがつかまらず上がりにくい
このように硬さによる違いをまずは基本として理解してください。
シャフトの硬さはヘッドスピードに合った振動数を活用する
推奨ヘッドスピードが重複した場合、どのようにシャフトを選んだら良いのかは、先ほどのメリット、デメリットで見えてくるものがあります。
ここで、もう少し詳しくシャフトのフレックスについてお伝えします。
フレックス表記は、実は統一されているわけではありません。
同じフレックス表記でも実際の硬さが異なるのです。
そのためフレックスをより具体的に数値化してみることが重要です。
最近は、手元の硬さを測る振動数を活用する人が増えています。
自分のヘッドスピードが分かれば、おおむね適切な硬さを導き出すことできるからです。
振動数が多ければ硬く、少なければ軟らかいシャフトです。
客観的な数値で見ることができるため、他のシャフトと比較もしやすくなります。
ここでひとつ豆知識ですが、振動数を用いてフィッティングやシャフトの案内をしてくれるお店は、かなり詳しいスタッフがいることが多いということです。
もしお店で相談する場合は、振動数について聞いてみると良いかもしれません。
ヘッドスピードだけでシャフトの硬さを決めない
ヘッドスピードを元に振動数で客観的に適正な硬さが分かったらOKとはいきません。
実際、推奨ヘッドスピードの重複する要素を考えるためには次の項目は欠かせません。
●キックポイント
キックポイントは、シャフトが最もしなるポイントを表す指標です。
最近では1か所ではなく、ダブルキックポイントと呼ばれ2か所しなるものをありますが、基本は1か所です。
先調子、中調子、元調子が基本です。
まず先調子は、先端側がしなりやすくできています。
そのため特徴はヘッドが走りやすく、ボールが上がりやすいため、高弾道やボールを上げたいゴルファーにおすすめです。
同じ振動数でも軟らかく感じやすいのも特徴です。
それから元調子は、手元側がしなりやすくなっています。
シャフトのしなりを活用するより、自分のタイミングを大切にしたい人におすすめです。
ある程度パワーが無いとシャフトのしなりを使えませんが、ハードヒッターにはおすすめです。
●トルク
トルクは、シャフトの捻じれを表す数値です。
シャフトはしなりと捻じれが起こりますが、捻じれはヘッドの返りやすさに関係してきます。
フェースターンが足りないゴルファーは、トルクが大きいものを選ぶと効果的です。
また、シャフトの硬さもトルクが大きいと軟らかく感じます。
ただし極端に軟らかいものを選んでしまうとヘッドが返り過ぎてしまいミスショットの原因になるため注意してください。
シャフトの硬さを調整してドライバーの重量アップ
シャフト選びが特に重要と言われるのがドライバーです。
スイングに合わせて、適正なシャフトを選ぶことで、ミスショットを減らしまた飛距離を伸ばすことができるからです。
ドライバーのシャフトは基本的にはカーボンの中から探します。
そのシャフト選びで陥り勝ちなのがアンダースペックのものを選んでしまうことです。
長く振りにくいドライバーは、軽く軟らかいものにすると振れている気になれるからかもしれません。
ただそれでは本当のヘッドスピード、パワーの伝達ができず、飛距離が出ず曲がりやすくなってしまいます。
選ぶ上でヘッドスピードを参考に概ねの硬さを決めますが、大切なのは重量です。
スイングが緩まない、しっかりとパワーが伝わる重量のものを選びましょう。
ここで、重量と硬さの関係について少しお話します。
同じフレックスで、50g台と60g台のシャフトがあったとします。
当然、60g台のほうが重く振りにくさを感じるようになっています。
ものによっては、重量帯が変わるとワンフレックス相当変化するため、フレックスをひとつ下げる、トルクの大きいものにすると、スイング中はしなりを感じるようになります。
つまり、重いと思っていたシャフトでも、硬さやその他のポイントを見てどう感じるかによって扱えるようになるのです。
ドライバーの場合、できるだけ強いボールを打てたほうが風に負けず飛距離も出るため、重量アップも検討の余地ありです。
アイアンのシャフトの硬さと素材の選び方
ドライバーに比べ、アイアンの場合は極端にフレックスにズレがなければ扱えてしまいます。
しかし、アイアンのシャフト選びで重要なのが素材です。
アイアンのシャフトはカーボンとスチールに分かれます。
カーボンはしなりが強く、シャフトの力を利用してボールを飛ばすのに優れています。
一方スチールは硬さに種類があるもののカーボンに比べると、独特の粘り感があって硬くなります。
それは振動数とトルクも表れています。
最近は、速いヘッドスピードに対応できるカーボンシャフトも増えてきましたので選び方は自由です。
しかしながらカーボンは、スチール5~10本分の金額のものが多いのがネックです。
カーボンシャフトが向いているゴルファーは、自分で打ちにいくというよりも、クラブの軽さやシャフトのしなりを使いたい人です。
またスチールシャフトは、自分のタイミングを大事にするゴルファーに向いています。
ドライバーのヘッドスピードが40m/sを超えてくる人は、スチールシャフトのほうが扱いやすいかもしれません。
ひと昔前は、スチールシャフトは硬くて重い印象でしたが、軽量スチールの登場によりフレックスの幅も広がったため、ヘッドスピードがあまりない人でも扱えるようになりました。
自分のシャフトはどうなっている?
今使っているシャフトがどのようなスペックなのか調べてみてください。
長い短い、重い軽い、硬い軟らかいといったものは比較するうえで大切な要素です。
お伝えしたシャフトの特徴を理解した上で、スイング練習をすれば、悩みが改善されるかもしれません。