シャフトカットという言葉を耳にしたことがありますか。
言葉の通り、シャフトを切って短くするということです。
ドライバーが長くて扱いづらいという理由だけでシャフトカットを考えるゴルファーがいます。
だからと言って深く考えずにシャフトカットするのは危険です。
今回はシャフトカットについてまとめます。
シャフトの基本的な知識
ゴルフクラブにとってシャフトは非常に大切な役割を果たしています。
ドライバーに限らず、全てのクラブにとって同じことです。
そのシャフトの役割は大きくふたつあります。
手元のエネルギーや打ち手の意思(動き)をクラブヘッドへ伝えること、それからしなりを作ってボールを飛ばすことです。
そうした役目のあるシャフトを、フレックスしか意識したことがないアマチュアゴルファーは意外と多いようです。
シャフトカットを考える前に、シャフトの基本的な知識を押さえておきましょう。
●フレックス
フレックスはシャフトの硬さを表します。
多くのフレックスは各メーカーがマシンテストによって導き出された適正ヘッドスピードをベースにしています。
つまりターゲット層が違えば、全くフレックスは違うと言えます。
●重量
一般的に同じ素材であれば、軽いと軟らかく、重いと硬くなります。
●キックポイント
調子とも呼ばれ、シャフトがもっともしなりやすいポイントを示したものです。
先調子はヘッドが動くため軟らかく、元調子は硬く感じます。
●トルク
シャフトは縦や横のしなりだけでなく、ねじれも発生します。
そのねじれを数値化したのがトルクです。
ヘッドの効き、ボールの捕まりやすさに関係します。
一般的なドライバーのシャフトの長さ
一般的にドライバーの長さはどのくらいなのでしょうか。
市販されているドライバーの概ね平均的な数値を見ると次の通りになります。
メンズモデルのドライバーの場合、純正シャフトやメーカーカスタムシャフトを含めても45~45.75インチの間のモデルが多くなります。
そしてレディースモデルの場合、メンズモデルに比べ短めで、43.75~44.5インチのモデルが多いようです。
一般的に男性は身長が高いため、長いシャフトセッティングになっています。
それでは、プロゴルファーが使っているドライバーの長さの平均はどのようになっているのでしょうか。
男子のプロゴルファーの場合、平均的には44.75インチと言われます。
市販モデルと比べ短めです。
一方、女子プロゴルファーは45インチの長さが平均のようです。
男子の場合、ヘッドスピードが速すぎるため、クラブの挙動を抑えることや再現性を高めることを優先し短くするケースが多いようです。
対して女子の場合は長さを活かしてヘッドスピードを向上させ、飛距離に繋げているのでしょう。
このことから、男性ゴルファーはプロと同じく安定性を高めるためにシャフトカットして短くしたほうが良さそうだと思うかもしれません。
ただしシャフトカットをする上では、色々と考えるべきことがあるのです。
ドライバーのシャフトカットは安易に考えてはいけない
ドライバーは短いほうが振りやすい、ミート率が上がると考えてシャフトカットを望むようです。
しかし、シャフトが短くなるということはシャフトの特性に変化が起こるということを忘れてはいけません。
先に、シャフトの基礎知識を紹介しました。
まずフレックスは、短くなることにより硬く感じるようになります。
そして重量は、短くなることにより軽くなります。
またキックポイントは、シャフトカットすることで手元が近づくことでズレます。
トルクも発生しにくくなります。
このように、基本的なスペックの範囲でも、これだけ大きな変化がシャフトに起こるのです。
またドライバーのシャフトは、0.5インチ変わるとスイングウエイトが3ポイントほど変わると言われています。
D2のバランスのものが、C9になってしまうということです。
これだけのスイングウエイトの変化は、ものすごく大きく感じてしまうはずです。
何より、シャフトカットは一度してしまったら、元に戻すことはできません。
長いものは短くできますが、短いものは長くできないのです。
あらためて本当にシャフトカットをするべきなのか良く考えてみましょう。
シャフトカットすることのメリットとデメリット
シャフトカットすることによって、大きな変化が生まれることが前項にまとめました。
それでは、ここでドライバーのシャフトを短くした場合、どのようなメリットとデメリットがスイングや出球に影響するのか紹介します。
●メリット
シャフトを短くした場合に考えられるメリットは次の通りです。
・再現性が向上する可能性が高い
・ドライバーが振り抜きやすくなる
・ミート率が向上し、飛距離アップにつながる可能性がある
・振り抜きやすくなることでヘッドスピードが上がる場合がある
●デメリット
シャフトを短くした場合に考えられるデメリットは次の通りです。
・シャフトが短くなることで硬くなる
・短くなる分、ヘッドスピードが遅くなる
・クラブの重量とバランスが変わり、振り心地が変わる
・ボールの上がりにくくなる
考えられるメリットやデメリットは前提条件にもよりますが複数考えられます。
長さを理由に振れていないゴルファーであれば、メリットは出やすいかもしれません。
しかし、振れていてミート率の向上や再現性を求める場合、変化が大きすぎ、デメリットになることが多いはずです。
どのような前提で自分がシャフトカットを考えているか見直しましょう。
シャフトのチップカットとバットカット
シャフトの名称についてここで簡単にお話しします。
シャフトは、一般的にテーパー形状になっており、先端から末端にかけて太さが異なります。
ゴルフのシャフトは細いほう(クラブヘッド側)を『チップ』、太いほう(グリップ側)を『バット』と言います。
シャフトカットをする場合、どちらを切るかによって呼び名が変わります。
クラブヘッド側のシャフトを切ることをチップカット、グリップ側を切ることをバットカットと言います。
ドライバーの場合、チップ径が基本的には8.5mmとなり、変えないほうが楽になります。
チップカットとバットカットで比べると簡単に次のような変化が出ます。
●チップカット
・バットカットに比べ、シャフトが硬くなる
・グリップの太さが変わらない
・基本的に新品組立段階で行う方法であり、現行使用のクラブでやる場合、シャフトの抜き差しが発生し、強度が落ちる
●バットカット
・チップカットに比べ、硬くならない
・グリップが細くなる
どちらをカットするかは専門店によって異なりますが、結構違いは出ます。
もしカットを考えているなら、豆知識として覚えておきましょう。
ドライバーのシャフトカットの前に試すべきこと
ドライバーのシャフトカットについて、色々と説明してきました。
始めにお伝えした通り、シャフトカットを行うと元には戻せません。
シャフトカットを考える人は、短くなれば再現性や振りやすさが変わると安易に考えがちです。
そう考える人の傾向として、クラブを目一杯長く持つことが当たり前と考えていることが多いようです。
そうではなく、視点を変え、再現性と振りやすさをどうやって今のクラブの長さで実現するかを一度検討してみましょう。
単純ですが、まずはグリップを短く持つことで実質クラブが短くなるため解決できるかもしれません。
プロゴルファーでも曲げたくないティーショットでは、極端にクラブを短く持つ場面があります。
そして短く持って軽く感じるようなら、鉛を貼って調整してみることです。
貼っては剥がすの繰り返しができるのが鉛調整のメリットです。
まずは今できることから考え、極力シャフトカットは最後の手段とすることをおすすめします。
シャフトカットよりあらかじめ短いシャフトを探す
スペックを大きく変えるひとつの方法としてシャフトカットは存在しますが、できることであれば、先に別の方法を取り入れることをおすすめします。
短く持ってみること、鉛調整をしてみること、グリップを変えてみることで振りやすさが変われば、再現性も高められます。
それでも上手くいかないなら、買い替えも視野に入れてシャフトカットするのはありかもしれません。