ドライバーの重さはインパクト直前のヘッドの動きが目安

近年ドライバーは軽量化されたことで飛距離が格段にアップしたわけですから、その重さ選びは重要であることに違いありません。

ただ軽すぎても使いにくいでしょうし、重すぎても飛ばないような気がします。

そこで今回は、ちょうど良い目安となるドライバーの重さについて考えていきます。

飛距離の目安となるのはドライバーの重さではない?

ドライバーの重さと飛距離の関係について考えたことはありますか?

年々ドライバーの飛距離が伸びてきたことで、飛びすぎをルールで規制しようと高反発クラブの使用を禁止し、さらにシャフトの長さに規制する動きが漏れ伝わってきています。

ただ何より飛距離アップした最大の要因は、軽量化の成功によってヘッドスピードピードが速くなり、強いインパクトを与えられるようになったことです。

昔のヘッドは中心まで密度の高い柿の木(パーシモン)で作られていたため、サイズが小さくてもそれなりの重さがあったわけです。

対して最近は薄い肉厚で内部が空洞になっている硬質チタンで作られているので、パーシモンの時代に比べるとずいぶんと軽くなっています。

同時にシャフトも重たいスチールから軽いカーボンに変わったことで軽量化が進み、飛距離の目安となるヘッドスピードが速くなり、飛距離を伸ばすことができたわけです。

ドライバーの重さが変わったことでヘッドスピードが速くなり、飛距離が伸びたわけですが、中学生時代で習った「質量」を思い返すと、質量は重くなるほど落下スピードが速くなるはずです。

しかし現実はドライバーが軽いほどヘッドスピードは速くなるので、どこか違う部分があると考えるのが自然です。

ドライバーの飛距離の目安となる重さは慣性質量のこと?

ドライバーの飛距離の目安となるヘッドスピードと、重さの関係について考えたことはありますか?

一般的に「重さ」と言えば重量のことを指しますが、これは中学生のときに習った地球の中心部に引かれる重力質量を表したものです。

そして高校生になると、「重さ」にはもう1つ慣性質量があることを習ったはずです。

物体を移動させるときは重さによって加速度に違いがあると習ったわけで、もしかしたらスポーツカーとトラックの車重差で確認したのではないでしょうか。

ゴルフの重さは重力質量ではなく、慣性質量でダウンスイングのときのヘッドスピードを考えているわけです。

当たり前のことと感じるかもしれませんが、ゴルフのスイング理論では、この重力質量と慣性質量を、ある意味都合良く使い分けています。

上から下へのダウンスイングでは、重力質量を用いて説明することもありますし、円のスイング軌道のときには慣性質量で話すことが多くなります。

当然ですが前者は重いほうが良く、後者は軽いほうが良いわけです。

ドライバーの重さは飛距離アップの目安にはならない

ドライバーの重さが飛距離を生むことはあるのか考えてみましょう。

前項で重力質量と慣性質量について触れましたが、結果的に重さがインパクトに影響を与えるかについては分からないはずです。

それでもその答えは、あのニュートンが教えてくれます。

ニュートンと言えば、リンゴが落ちるのを見て引力を発見し、落ちるスピードが加速することを発見したと言われていますが、ここでニュートンに教えてもらうのは「カチカチ」についてです。

公園にあるブランコのイスの部分が鉄球になっていて、ピッタリと5個くっついた状態になっているものです。

端の鉄球を引き上げて手を離すと、1つ前の鉄球に当たり、その反動で1番端の鉄球が跳ね上がります。

これを「ニュートンのゆりかご」と呼んでいますが、正式には「運動量保存の法則」を表したものなのです。

このとき鉄球の重さによって、反対側の鉄球の跳ね上がりが大きくなることはないのです。

つまりドライバーはヘッドを重くしただけでは、反発する目安は変わらないということになるわけです。

それでもドライバーの重さは飛距離の目安になるらしい!

ドライバーは軽いほうがヘッドスピードは速くなるので、その分だけインパクトでの衝撃は強くなり飛距離を伸ばすことができます。

ところが「弾力衝突」を考えると、もっとも良く跳ね返る箇所、つまりスイートスポットでミートすると飛距離は伸びます。

このときフェース面がたわむことで反発してボールを弾き飛ばすわけですから、重さがあるほど強い反発を与えることができます。

ドライバーに規制がかかっている高反発クラブは、このフェースのたわみによる反発力を数値で表して上限を決めたものです。

ボールとヘッドが衝突するときの数値化されたものが「反発係数」です。

直線上を運動する2つの物体が衝突する場合の反発係数について考えます。

そのため飛距離を考えるのであれば、重さのあるドライバーを使ったほうが有利に働くことになります。

そこで重要になってくるのが、自分のパワーに合った重さなのかということです。

振り切れる目安を超えてしまうと、重さのせいでヘッドスピードが落ちて弱いインパクトしかできない可能性が高まります。

ドライバーの重さの目安とは重量を指しているわけではない?

「ヘッドが効く」「つかまりが良い」と言われるドライバーは、ヘッドに重さを感じるタイプです。

一方「操作性が良い」「球離れが良い」と言われるドライバーは、ヘッドが軽いと感じるドライバーです。

同じ重さのドライバーであっても、ヘッド側にバランスが偏ると重く感じますし、グリップ側を重くすると軽く感じます。

そもそも重いか軽いかの違いは、個人の感覚によるものですし、なによりもドライバー自体がそんなに重たいわけではありません。

近年のドライバーの重さの目安となるのは、280~330グラム程度のものです。

他のクラブと比べても軽いため、重くて振り回すことができないというほどのことはないはずです。

ちなみに野球のバットの重さは900グラム前後ですから、ドライバーの3倍重いことになります。

もちろんドライバーはバットよりも長いので、実際にスイングすると3倍の差を感じないかもしれません。

その感じる重さの元となるのが、バランスによるヘッドの重さなのです。

ゴルファーの技量がドライバーの重さを決める

ドライバーに限らず良いゴルフスイングを表現するときに、「振り切る」を使うことがあります。

色々な解釈の仕方はあるかもしれませんが、シャフトがしなり遅れていたヘッドがインパクトの直前で戻ってボールを捕らえる状態がナイスショットで、ヘッドの戻りが大きくヘッドスピードが加速した状態が振り切ると考えることができます。

ドライバーのヘッド側の重さによってヘッドが効いた状態であるから、ヘッドの揺り戻しがあるとするならば、重いほうがヘッドスピードは加速することになります。

一方スイングスピードを見ると、重たいドライバーよりも軽いドライバーのほうが速く振れます。

まずはトップからインパクトまでのスイングスピードが重要で、その上でヘッドスピードの加速が飛距離に影響を与えるわけです。

スイングスピードが速くなっても、ヘッドスピードの加速が少なければ飛距離が伸びないか、ダウンスイングの元となるスイングスピードが速くなければ飛距離が伸びないかは、ゴルファーによってその目安となるものは違ってくるはずです。

そのため自分の技量に合った重さのドライバーを選ぶことがポイントになります。

ドライバーの重さの目安となるものは個々によって違うもの

ドライバーの重さに、画一的な目安があるわけではありません。

300グラムのドライバーを軽いと思う人がいれば、そうでもないと思う人もいるものです。

自分に合った重さ探しとは、インパクトの直前にヘッドを返しやすい重さを見つけることなのです。