アイアンのライ角が自分にとってフラットだと、スライスする可能性が高まります。
フラットなライ角を修正するにはライ角調整が一般的ですが、そのほかにも修正する方法があります。
今回はアマチュアゴルファーが簡単にフラットなライ角を修正できる方法をご紹介します。
アイアンのライ角がフラットだとアドレスでヒールが浮く
アイアンのヘッドをソールしてアドレスの姿勢をとろうとしたとき、グリップの高さが合わないとしたらライ角調整が必要です。
ヘッドをソールして、そのシャフトの傾きのままグリップの位置を決定します。
上半身を前傾させて、肩から下ろした腕は重力に対して垂直になるようにします。
両手を体の中央で合わせて、そこにグリップがあれば正しいライ角となっていると判断できます。
一方で合わせた手の位置よりもグリップが低ければ、ライ角はフラットになっていると判断でき、調整が必要不可欠です。
もしもライ角調整をせずに、アドレスの姿勢を変えて手の位置を低くして構えたとしても、スイング中に修正されてインパクトではグリップの位置が高くなります。
フラットなライ角はグリップの位置が高くなるので、インパクトではヒールが浮いてトゥが接地するでしょう。
するとインパクトの直前でトゥにのみ芝の抵抗がかかるので、ヒールだけが先行しフェースは開きます。
つまりスライスボールを打ち出す可能性が高くなるわけです。
ライ角がフラットなアイアンだとスライスボールになる
正しいスイングをすることができたとすると、フラットなライ角のアイアンではスライスボールを打ち出すことになります。
アイアンの設定されているグリップの位置が低いため、それに合わせてアドレスをしても、スイング中にグリップは正しい高さに修正されて、ソールの先端側に抵抗を受けてフェースが開くからです。
この場合はライ角を修正することになるわけですが、ヘッドの内部に入っているシャフトを曲げることはできないので、ヘッドごと曲げることになります。
想像すれば分かると思いますが、硬い鉄を曲げると歪みが生じるので、内側にはシワが寄り、外側には亀裂が生じる恐れがあります。
そもそも中空構造のような特殊なヘッドだったり、硬くて曲がらないステンレス素材だったりすると、曲げることさえできません。
このような場合には、リシャフトによって解決するしかないでしょう。
ヘッドから斜めに伸びているシャフトを、さらに長いタイプに変えるとグリップの位置は高くできます。
平均身長より高いとアイアンのライ角はフラットになる
そもそもアイアンのライ角がフラットなのは、自身の身長が平均より高いのかもしれません。
国内向けアイアンは、製造段階で日本人の平均身長170cmを基準としていると言われ、170cmよりも高く、例えば180cmのゴルファーはグリップ位置が低くなります。
もちろんアドレスの姿勢や腕の長さによって個人差はありますが、おおむね身長の高い人はグリップを握る位置が高いと考えられています。
日本人の平均身長は約170cmですが、欧米人向けのアイアンのライ角は180cmを基準にしています。
そのためアイアンを構えてライ角がフラットだとしたら、並行輸入のアイアンであれば合う可能性があります。
170cmと180cmのライ角の差は計算上1度です。
わずか1度の差ではありますが、ソールが擦れる部分が偏ると、擦れたほうに抵抗がかかり、スクエアフェースでインパクトをすることはできません。
ライ角調整が可能なアイアンであれば、工房のあるショップに依頼して、自分に合ったライ角にしてもらうことはできますが、ライ角調整のできないヘッドであれば長いシャフトに差し替えなければなりません。
ただし欧米仕様のアイアンであれば、180センチの身長に合わせているので、リシャフトする必要はありません。
ライ角がフラットであれば欧米仕様のアイアンを選ぼう!
欧米から並行輸入されているアイアンは、ライ角が欧米仕様になっているので、フラットな日本国内仕様に比べるとアップライトになっています。
いまやダイバーシティが当たり前となっている欧米ですから、国民の「平均身長」という画一的な概念はないかもしれませんが、それでも服のサイズにS/M/Lがあるように、ゴルフクラブにも標準は設けられています。
欧米仕様は伝統的に180センチを基準としてライ角を設定しているので、日本国内仕様とは10センチの身長差があります。
国内仕様のアイアンでライ角がフラットに感じるようであれば、欧米向けのアイアンを購入するとリシャフトやライ角調整を行わなくて済みます。
ちなみにライ角が1度違うときのグリップエンドの高さについては、事前に知っておくようにしましょう。
日本国内仕様の一般的な7番アイアンの長さは37インチで、ライ角は62度で設定されています。
この7番アイアンを1度アップライトにするとき、グリップの高さどこくらい違うのでしょうか。
次項で紹介します。
ライ角がフラットなアイアンは地上から何センチの位置?
7番アイアンは、長さが37インチでライ角は62度だとして、ヘッドをソールしたときのグリップエンドの高さは31.78インチ、センチで換算すると80.72センチになります。
ここがグリップエンドなので、グリップを握った先端は15センチ下になるので、地上からおよそ65センチが右手の人差し指の高さになります。
そしてこの7番アイアンのライ角を1度アップライトにすると、高さは32.07インチで81.45センチになることから、フラットと感じた62度と比べるとおよそ0.73センチ高くなったわけです。
これを「結構高くなった」と感じるか、「グリップを握ったときの誤差の範囲」と感じるかは個々によって違うと思いますが、身長170センチ用と180センチ用の違いはこの程度なのです。
一般的にライ角調整の限度は2度と言われていますので、1.5センチの違いということになります。
アイアンのライ角調整をしなくてもフラットは修正できる
フラットなアイアンをライ角調整すれば、フェースの歪みや亀裂のリスクがありますし、リシャフトすれば経済的な負担も大きくなります。
費用対効果を考えたとき、グリップの高さが1センチ未満でも納得ができれば、ライ角を合わせてミスショットを減らす選択ができます。
ただ一般ゴルファーの場合には、経済的な負担を考えると、少しだけアドレスの形を変えるだけで、フラットなライ角を修正することができます。
もっとも簡単な方法は前傾姿勢を深くするアドレスですが、これはスイングアークが崩れる危険性があるのでおすすめできません。
ドライバーと違いシャフトの短いアイアンの場合には、わずか1センチ程度の高さ調整ですから、スタンスの幅を少しだけ広げればグリップの位置は低くなります。
アイアンのスタンス幅は肩幅でとっていることが多いわけですが、その肩幅をシューズ半足分外側に開くと、両足で1足分となる10センチプラスのワイドスタンスになります。
これだけで1センチ未満のグリップの高さは修正できますので、ヘッドにリスクを伴うライ角調整や高額な費用がかかるリシャフトをしなくても済むはずです。
フラットなライ角に合わせたアイアンのアドレスをとる
アイアンのライ角がフラットだと、インパクトでヒールが浮くため、トゥにのみ芝の抵抗がかかってスライスします。
解決するためにはライ角を調整するのが一般的ですが、ヘッドにダメージを受けるリスクがあります。
また効果的なリシャフトは高額な費用が発生するので、ライ角によるミスショットが原因であれば、ワイドスタンスでアドレスをとるとグリップの位置が下がりフラットなライ角に合わせることができます。